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リストラ(人員削減)の現状と問題点

リストラの現状

景気は好況のときもあれば不況のときもあります。
経営環境は日々刻々と変化します。
従って、経営者は、事業内容の再構築(リストラクチャリング)
を考える必要があります。
しかし、労働者は会社に勤務することを生活の基盤としています。
そのため、経営者は不況や事業の再構築を理由に
簡単に労働者を解雇することはできません。
経営者は、最善の努力をした上で、人員を削減する必要があります。
厳密には「リストラ=解雇」ではないのです。

希望退職者の募集

解雇ではないリストラの一つの方法として、
希望退職者の募集があります。
希望退職者の募集とは、会社が従業員に対し退職金の増額や
再就職先の斡旋等の措置を講じて、自主的な退職者を募ることです。

会社が希望退職者の募集を実施する際には、
次の諸点を考慮する必要があります。
1 会社経営の抜本的な改善がなされ、不況克服のための営業努力がなされたこと。
2 新規の従業員の採用を減少又は停止したこと。
3 残業時間の規制等を行ったこと。
4 配置転換や出向により人事の刷新を図ったこと。
5 レイ・オフ等を実施したこと。

整理解雇

直接的なリストラの手段として、整理解雇があります。
整理解雇とは、事業の継続が困難な場合に行うリストラ(人員削減)としての
使用者からの労働契約(雇用契約)の解除のことを意味します。

会社が整理解雇を実施するには判例法上、
次の4つの厳格な要件を必要とすると言われています。
1 整理解雇の必要性
2 解雇回避努力義務
3 被解雇者選定の合理性
4 説明、協議義務

リストラの問題点

労働基準法20条は、解雇の場合の30日前の予告、
またはこれに代わる平均賃金の支払いを定めています。
しかし、平成15年の改正により判例法理(解雇権濫用法理)を条文化した
同法18条の2は、
「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」の解雇を、
権利濫用として無効と規定しました。
現在は、労働契約法16条に規定されています。
しかし、「客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合」
とはいかなる場合を指すのか、明確な基準は存在しません。
そのため、解雇無効と裁判所に判断されるリスクがあります。